日々暖かくなってきてもうすぐ多くの会社が決算日を 迎えようとしています。 決算月になると慌てて 『節税しなきゃ(使命感)』 と本業以上に張り切る方もいらっしゃいますが今一度、 節税がいかに会社の資金繰りに悪影響を与えるか、 そして節税しても良い会社を僕の私見としてお話します。 僕の記事では今日も例外なく節税を否定していますので 節税が大好きな方はどうぞ【戻る】ボタンをクリックして頂いて 筋トレでもして頂いたほうが時間を有用に使えますよ-。 ① 前回までのあらすじ 以前の記事で 【節税という甘ーい罠】 【本当に怖い会社の節税 ~設備投資編~】 というお話をさせて頂きました。まとめると ・ 節税は基本的に資金流出が伴う ・ その中でも換金価値の低い設備投資や会員権は最悪 といったところです。 ② 利益はお金が伴って初めて実感が湧く 節税の一部には【一旦、お金を払って経費にする が将来、返ってくる】というパターンがあります。 後でお話しする保険、倒産防止共済、航空機や船舶 などのオペレーティングリース(以下『OPリース』)等々が あります。 【後でお金が返ってくるから実質的には資金や!】 と最もらしいことを言う方もいますが例えばこんなお話 はどうでしょう。 今、1000万の利益があります。半分は税金で持って行か れると仮定すると500万は手元に残ります。 この手元500万を車屋さんに行って500万の車を買おうと するとディーラーさんはニッコリ笑顔で 『まいどおおきに!』 ※画像はイメージです と車を売ってくれますよね。 しかし、例えば節税で1000万の保険(将来、同じ金額で 返ってくると仮定)を突っ込んで税金ゼロ、利益ゼロ、手元 資金ゼロの状態で車屋さんに行って・・・ 『兄ちゃん!この車(500万)、売ってや!将来、保険で 1000万返ってくるから!』( ^ω^) などと言おうものなら ※画像はイメージです と言われるのが目に見えています。 利益はキャッシュが伴って初めて利益なのです(会計学 的に言えば語弊がありますが) まさに現ナマに勝るものなしです。 ③ 前回よりは大分マシな保険、節税商品 保険やOPリースは買ったときから既に換金性の低い 設備投資や会員権に比べれば大分マシです。 そもそも保険について言いますと節税が本来の目的 ではなく経営者に何かあったとき、残された方々のため にかけておくものです。 ごく希に無保険の裸一貫でとても男らしい方もいらっしゃ いますが残された方の事を思うと当座の資金をカバーでき るぐらいの掛け捨て保険ぐらいは入った方がいいでしょう。 保険や倒産防止共済、OPリースの場合、注意が必要な点は ・ 一定期間、払い続けないと(加入しつづけないと)返戻金 が満額貰えない ・ 払い先が潰れたときお金が返ってこない可能性 ・ 国税庁による取扱の変更 です。現にこの3月で保険に対する新ルール案が国税から 説明会があったり、コロナの影響で航空関連に打撃があった りで航空機の換金価値が大幅に下がったりと当初の目論見 が破綻する可能性があります。 ④ 節税をしても良い会社とは 節税をしても良い会社はキャッシュが潤沢にあり 少々の資金流出を伴っても会社がびくともしない 会社です。 どのくらいお金があれば節税してもOKかというと 僕の私見では・・・・ A 当座比率 200%以上 B 自己資本比率 50%以上 C 保有当座資産>半年間の固定費&返済金 の3つの要件を満たせば良いかなと思います。 これら3つの視点については前回の記事で触れて おりますのでそちらを参考にしてみてください。 恐らくA~Cを達成できる会社はほとんどないでしょう。 いかがだったでしょうか。節税で会社の財務状況が 良くなることはありません(むしろ利益が下がるので 悪くなります) 良くなることがないということは銀行融資も受けづらく なります。 少なくとも債務超過の会社がたまに利益が出てその時 に節税しようなんて考えるのはやめたほうがいいでしょう。 今日もここまで長々と読んで頂いてありがとうござ いました。また次回の記事をお楽しみに。 今日のwriter: y.hori バックナンバーはこちら