ここ数年、消費税の改正は ・ 税率改正 ・ 軽減税率の導入 等々ですっかり記憶から抜け落ちていた【消費税の 総額表示義務】がいよいよ始まります。今回は対象と なる取引や具体的な表示例、そして経営に与えるイン パクトをお伝えできればいいかなと思っております。 ① 総額表示義務はいつから?どんな取引が対象? 財務省HPや国税庁HPによると総額表示を義務づけ られるのは令和3年4月1日からです。 あと数日しかありませんのでまだ準備ができてない方 は急いで値札を作りましょうね。 具体的な表示例は となっており、消費者に対して総額さえ表示されて いればよいみたいです。 尚、対象となる取引は小売りの段階で表示するときに 総額表示が義務づけられており事業者間(いわゆるBtB) での取引は総額表示義務の対象とはならないとのことです。 ② もし実質値引きをすると・・・ 例えば税抜きで10,000円の商品をディスプレイした 場合、今まででしたら 10,000円(+税) という表示がありました。義務化後はこのような表示を することができませんから 11,000円(税込) 等々、総額を表示することになります(税率は標準税率 の10%を想定しています) ところが! 【お客さんに対して値上げの印象になるから価格は据え置く】 という事業者もちらほらあります。前々回の5%→8%、 前回の8%→10%のときもありました。大企業ではユニ クロが本体価格をそのまま消費税込みの価格にすること を発表したみたいですね。 大企業は少々、実質値下げをしても圧倒的なシェアで 押し込めるのでこれを機にシェアアップを図る戦略でしょうか。 では実質値下げをした場合、どのような影響があるので しょうか。少し例を挙げて考えてみます。 <値下前(税抜)> 売上 10,000円 原価 5,000円 粗利 5,000円 売上に対して原価が半分かかっているとして税率は 食料品以外の標準税率(10%)と仮定します。 <値下後> 売上 9,090円(10,000円÷1.1) 原価 5,000円 粗利 4,090円 今回の総額表示義務で消費税分だけ事業者が負担 する場合、原価は変わらずと仮定するとこのよう な結果になります。 ③ 値下げ前の利益を取るには・・・ 一個当たりの粗利が減少することが分かりました。 では『値下げをしても前と同じ利益を取る』ために は数量で勝負するしかないですが、②の例だとどう なるかさらに深堀してみましょう。 売上単価が下がっているので粗利も連動して下がって います。値下げ前の利益を獲得するためにここでは 数量で勝負するという選択肢なので ※端数処理のため実際の計算とは少し異なります 値下げ前より2割以上近くの数量を捌けば何とか 値下げ前と同じ粗利を獲得できます。 数量を捌くとなると連動して労働時間増加、在庫 リスク、クレーム処理などの更なる負荷がかかる 恐れがあります。 一度でも『値下げの沼』に入り込むとそこから這い 上がるのが非常に難しくなります。個人的には【物量 で押し込める大企業】ならいざ知らず、【知名度も資 金力も低い中小企業】は絶対に取るべき方法ではない と思っています。 尚、 【原価や人件費下げればええやん!恫喝いくでぇ!】 と、経費関係を無理にでも圧縮しようとすると今度は 品質低下や人間の離脱などのもっとアカンタレな状況 になりやすいです。もう地獄絵図ですね。 ですのでいかに価格維持をしてもお客様が喜んで同じ 値段で買って頂くかを考えなければなりません。 本日の記事はいかがだったでしょうか。 良ければFBの高評価を押していただければ 中の人は非常に喜びますのでよろしくお願い します。 今日のwriter: y.hori バックナンバーはこちら