今年も3月に入り3月決算の会社は最後の一月ということ
で一円でも業績を良くされようと鞭を入れられてると思い
ます。

さて、決算が終わって会計事務所から決算書の引き渡しを
受けると思います。大抵の場合、その決算書をお金を借り
ている銀行に対して渡されています。


さて、銀行は決算書を何に使っているのでしょうか・・・


① 銀行は決算書を分析している

何も嫌がらせで決算書を回収しているわけではありません。
お金を貸している以上、借りている会社の状況が知りたい
わけです。その状況を数値的な意味合いで知るには決算書
が適しています(タイムリーな情報がもっと欲しいときは
試算表を回収されます)
そして何年も利益を出せないような会社や財務状態が極めて
悪い会社にはそれ相応の対応が待っています② 最近はコロナで借りやすかった

とはいえここ最近はコロナの影響でお金を借りやすい状況
でした。通常では『どう考えても無理やろ』と思うような
会社が銀行からお金を借りれています。
また元金の返済も猶予されており今現在の状況で多いのが

・ 手元のお金はとりあえずある(当座比率は高い)
・ 借入依存度が高い(自己資本比率は低い)

というところでしょうか。


③ 銀行は決算書を鵜呑みにしていない

ところで銀行は回収した決算書の情報をそのまま鵜呑み
にしていると思いますか?

『ウン!(^^♪』

と思ったそこのあなた。甘いですよ!中小企業の決算書は
良くも悪くもほとんどが『税務』をベースに作られたもの
です。会計の本来の目的である『企業の状況を正しく反映
する』という点からはズレています(税務の面からは正しい
ですが・・・)

それが良いかどうかはここでは話を置いておいて一度は
自社の財務状況(貸借対照表)を本来の目的である財務
状況を正しく反映するという点から今日はお伝えします。

ちなみに

・ 決算書なんて読む気もしないし勉強する気もない
・ 数値に興味がない。

という人はここから先は読んでも意味がないので
戻るボタンを押してお仕事に戻ったほうがいいですよ。



④ 貸借対照表を実質ベースにしてみる

例えばこんな会社があったとします。



現金預金+売上債権が約1200万。それに対して流動負債が
約500万。当座比率でみると200%越えです。自己資本比率
も50%目前と中小企業としてはなかなかの数値です。

ところがどっこい!この貸借対照表。以下の事実が
反映されていないことが判明しました。


① 売上債権の中に300,000が不良債権で回収困難であった
② 土地の現在価格は半分の500万であった
③ 会員権はゴルフ会員権で現在、無価値であった
④ 退職給付引当金が未計上で決算日現在で300万あった
⑤ 長期借入金の中には一年以内に返済期限が到来する借入金が200万あった



④について少し解説を入れますね。

退職給付引当金とは『決算日現在でもしみんなが退職
したらいくらぐらい払わないといけないか』の見積もり
と思って頂ければと思います。
退職金は一般的に金額が大きく企業の財務状況を大きく損
ないます。それが負債の部に計上されていないのは企業の
本来の財政状況を反映しているとは言い難いです。

さて、この①~⑤までの修正点を入れてみましょう




たとえば③ですがゴルフ会員権は無価値なので
▲300万として今までの利益の累積である剰余金
を同じ金額だけ減らします。
さてさて、あまり良い予感がしませんがこの会社の
実質的な貸借対照表はどうなるでしょう・・・





あーー。やっぱり・・・・

借入金がすべて長期借入金になっていたので
一年以内に返すべき部分を流動負債に入れました。
他にも売掛金で回収困難なものを破産債権として
固定資産に振り替えました。
当座比率は200%強から150%にまで低下しています。

酷いのが自己資本比率で修正前は50%近くあったの
が蓋を開けてみると20%以下です。土地が半値、会員権
は無価値だったのが大きく響いています。
銀行はこのように与えられた決算書から実質ベースに変換
して財務状況を分析しています。



⑤ 実質ベースの数値と向き合う

先ほど申しました通り会計事務所から受け取った決算書の
ほとんどが税務をベースに作られています。
ですので会社の数値状況を知りたいなら自分でしっかり勉強
して足し算引き算しないといけません。

今はコロナで借入フィーバー状態ですがこんな状況がいつま
でも続くわけがありません。
となると『おかわり』が必要になってくるはずですが銀行も
実質債務超過の会社や利益の出ない会社にお金を貸すとは
思えません。

今日のながーーーーーい記事を読んで頂いた方には
是非、決算書を引っ張り出して実質的な貸借対照表
を一度は作ってみることをオススメします。




 今日のwriter: y.hori 
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